
競技力アップを目指すスポーツ選手にとって栄養摂取のタイミングは非常に大切なテーマです。
元来トレーニングと栄養と休息は同格で考える必要があります。
ところが日本においてはトレーニングに重きがおかれ指導者の栄養に関する知識の不足や誤解がたちまち子供たちを危険な状態に追い込む危険性を秘めています。
スポーツ栄養の重要性が理解されていないことが、子供たちに正しい食生活管理を学ばせることの妨げになり、将来の優秀な選手として、また健康な成人への道を閉ざすことになりかねません。

トレーニングによって筋肉組織は損傷し、筋肉中の酸素貯蔵体ミオグロビンは血中に漏出し、また赤血球が破壊されることにより血中の酸素運搬体ヘモグロビンも失われます。
競技スポーツのトレーニングは必ずしも体にとって健康とは言い難い状況を作り出しています。まずこのことを理解してください。
この状況下で最も大切なことは体内での蛋白合成を活発化することです。
その第一歩が成長ホルモンの分泌を促すことです。
そのためにはトレーニング終了前のレジスタンス運動(ウェイトトレーニング)と素早い栄養補給(できるだけ早く夕食を摂る)と早めの休息・睡眠が大切です。
つまり自分の体で蛋白合成をするためにできるだけよい環境を作ってやることが大切です。
実際には練習終了後夕食までの間が1時間以上あるためサプリメント補給が重要な意味を持ちます。この場合、蛋白質豊富で栄養価の高い夕食が控えていますから、必須アミノ酸をすべて含んだプロテインやマルチアミノ酸を摂取する必要はなくBCAAとグルタミンペプチド・アルギニン程度で十分です。
最近この時期にプロテインを摂取することは、腎臓に負担がかかり過ぎるため不適切であるとの意見があり、競技スポーツ選手にはプロテインは不向きとする意見も見受けられますが、筆者も賛成です。メーカーによっては摂りすぎたプロテインは尿として排泄される為問題ないとしていますが、元来過剰なプロテインを尿として処理するためには腎臓は非常に多量の水分を必要とし、トレーニング直後の脱水状態でこの負担をかけることは避けた方が賢明です。プロテイン崇拝の諸兄にはちょっと酷ですが、十分この事を理解してください。
また運動によって失われた筋肉及び肝臓のグリコーゲンを十分補充することも非常に大切です。運動中には脂肪燃焼を妨げない果糖が理想的ですが、このタイミングでは最近話題のデキストリンが効果を発揮します。理想的にはビタミンCやクエン酸を含んだ飲み物(オレンジジュース等)があれば満点です。

トレーニングによってミオグロビンやヘモグロビンが失われることにより鉄は確実に消費されます。オリンピック選手の半数に鉄欠乏性貧血があるとも言われています。
鉄は非常に吸収率が悪いため体蛋白合成の際へモグロビン・ミオグロビン合成に関しては一工夫が必要です。
具体的には代表的鉄補給蛋白の赤身の肉を食べた際には(他の鉄補給源例えばレバー・貝類・海藻類・緑色野菜でも同様)鉄吸収を促進するクエン酸やビタミンC摂取を心がけ、吸収阻害物質であるタンニンやフィチン酸、カルシウム等を摂取しないこと(緑茶・紅茶・コーヒー・豆腐等は避ける)が大切です。これは実際にはかなり難しいのでヘム鉄を中心としたサプリメントやスピルリナ等をカルシウム摂取とずらして摂取するのが賢明かも。

長距離選手を中心に骨折は多発します。主因として考えられているのは多量のランニングによって骨蛋白質のコラーゲンが多量に分解されることにあります。
骨ではコラーゲンが鉄筋の役割をしていて、これにカルシウムとリンがセメント役で結合しています。
つまり骨作りにはコラーゲン形成とカルシウム摂取の二つの要素が絡んできます。
まずコラーゲン形成促進のためには他の蛋白合成と同じようにレジスタンス運動と睡眠が重要です。もちろんビタミンC摂取も重要ですし、サプリメントで補給することも可能ですが、何れにしろ体での蛋白合成の助けになる環境作りが最重要です。
カルシウム摂取に関しては鉄摂取と時間を置いて行うことが理想です。
カルシウム自体も吸収率が悪いのですが鉄ほどではありませんから、まず夕食時に鉄分摂取の後、夕食時間とずらして牛乳などで補給することが大切です。
カルシウムはいったん骨に蓄積され必要に応じて血中に放出されます。腸や骨での吸収を高めるためのカゼイン(牛乳に含まれる)やマグネシウム(サプリメントの場合カルシウム:マグネシウム=2:1が理想)リン、ビタミンD・C・K等が関係してきます。
コンビニ弁当等保存料にはリンが多く含まれており、これがカルシウムの消費を増大するため極力避けたほうが良いでしょう。
そして中年女性にとって大問題の骨粗鬆症は、小児期から思春期にかけて蓄積された最大骨量が将来の骨量を決定する重要な因子であることを忘れてはなりません。 |