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スポーツトレーニングの基本は、練習・栄養・休息である。指導者は、父兄の要望もあり早期の好成績を求めるがあまり練習にかけるウェートほど栄養・休息に重きを置かない傾向にある。日本体育協会は栄養バランスのとれた正しい食事摂取をしていれば、サプリメントは必要でない、との見解でサプリメントに興味を示さないが、トップアスリートの多くはメーカー主導型でサプリメントを愛用している。選手心理として出来るだけ高いレベルでのパフォーマンス向上を望んで摂取しているが、正しい理論に基づいた摂取は故障しにくい身体作りや故障部位の早期修復のために役立ち結果としてパフォーマンスの向上を得る事が可能になる。今回はスポーツ栄養学の話を中心としてスポーツとサプリメントの関わりについて時間の許す限りお話したいと思うが、事前に4つのポイント(図1)をお示ししたので順次進めて行きたい。
(図1)
プロテインはアミノ酸スコアーの理論にのっとり必須アミノ酸8種類を全て一定量以上含有し、非必須アミノ酸・炭水化物・ミネラル・ビタミン等を配合した栄養補助食品である。
メーカー指導によると運動終了後に20g程度の摂取を薦めているが、蛋白質の摂取必要量は体重50kgの人で1日50g程度である。過剰に摂取した蛋白質は尿となって排出される為問題ないとの注釈があるが果たしてこんなに多く摂取する事が本当に適切なのか?
トレーニング終了時は必ず脱水状態にあり、(脱水にならない程度の練習ならサプリメントは必要なし)過剰なプロテインを処理するのは全て腎臓である。熱中症等高度の脱水状態では腎機能は急速に悪化することでも理解できるように、脱水状態での高濃度の蛋白処理は腎臓に大きな負担をかける。
(図2)
プロテインは多少ペプチド化してあるとはいえアミノ酸にまで分解しないと吸収し得ないため、後で食べるアミノ酸スコアー100の夕食と同じである。では運動終了時のサプリメントは何が適切なのだろうか?鍵はBCAAにある。そもそもサプリメントは不足した物を選択的にタイミングよく摂取することが大切。BCAAは唯一筋肉内で代謝される必須アミノ酸3種で、運動前に摂取すると運動中の筋肉内グリコーゲンを温存できまた、運動中に血中BCAAが豊富に有れば骨格筋蛋白質の蓄積量が大きいことも判っている。また、アルギニンを同時に摂取するとアンモニア処理や成長ホルモン分泌等の関係でより有効だ。運動直後30分以内にBCAA+グルタミン+炭水化物を摂取するとインスリンとアミノ酸の相乗効果で骨格筋蛋白質蓄積が一層効果的。アンチカタボリックサプリメントとしてホスファチジルセリンも注目株だ。
運動中は発汗によって体温上昇を抑制する為、脱水状態に陥る。如何に早く水分補給出来るかは浸透圧とGERが大切。浸透圧を規定する因子はNa等のミネラルや糖質。輸液の原点が5%糖液と生理食塩水であることを考えるとおのずと好ましいドリンクが見えてくる。スポーツドリンクには水分・電解質補給と糖質補給が重要だが、糖質は単糖類でしか吸収できずブドウ糖よりもクエン酸と同時摂取の果糖のほうが色々と利点がある、5%前後が無難だ。色々なアミノ酸配合ドリンクが販売されているが、BCAA+アルギニン以外のアミノ酸は全く必要なく特にトリプトファン配合のものは避けたい。何れにせよBCAA+アルギニンは美味しく無いので味付けが大きな要因となる。
(図3)

CoQ10はミトコンドリア内でATP産生の主役をなす。TCA回路で産生するATPの17倍のATPを電子伝達系で産生するのに必須である。加齢や運動等人体の酸化によりCoQ10が減少するため効率的な摂取が望まれる。抗酸化力はミトコンドリア以外でも発揮され酸化型VtEの還元も大きな働きだ。脂溶性で吸収率は5%程度、水溶性化したものや包接化したものが吸収率を高めた為非常に有利だ。αリポ酸は糖代謝の補酵素だがVtC・E・CoQ10・グルタチオンの還元が可能なため最強の抗酸化物質として期待されている。
(図4)
寝たきりの原因として所謂生活習慣病に起因するものが最多だが、決して侮れないのが骨粗鬆による骨折と姿勢筋力低下によるサルコペニアである。骨粗鬆の予防は20歳までの骨塩獲得が全てであり、同時期の運動習慣が絶対的な要因である。閉経後にCa摂取を増量しても帰って動脈硬化を進める事に成りかねない。骨は鉄筋コンクリートと同じで鉄筋部分はコラーゲンでありコンクリート部分にCa・Mgなどのハイドロキシアパタイトが沈着することで形成される。つまりコラーゲン合成を活発化しないとCa摂取は無意味に終わる。現在骨塩増量のエビデンスが発表されているサプリメントの中でイソフラボンが有名であるが、日本人の半数に吸収障害があり腸まで届く乳酸菌の併用が効果的とされている。
(図5)
またFeとCaの同時摂取はFe吸収が阻害される為夕食でFeを摂取し食後2時間後に牛乳等は摂取したい。過度な痩身願望により40kg以下の女性が増加しているが、彼らは特に姿勢筋が虚弱なため立位・座位の姿勢を保てず早期にサルコペニアになる。適度な運動とBCAAを中心とした正しいサプリメント活用がこの予防に役立つ。基も大切な事それは、蛋白合成は自分の力で!
(図6)
2006/1/31 |