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アミノ酸ブームに対しての警鐘

朝日新聞5月31日付けBeeにアミノ酸含有飲料の話題が掲載されてから再び火が点いたように巷ではアミノ酸に対する関心が深まったように思います。その証拠に質問コーナーへの質問もちょっと突っ込んだ内容が多くなってきました。あの記事は担当記者が非常に熱心に研究して下さったお陰で僕のコメントは少しですが、全体の流れとしては小生の意見を反映して頂いています。それを踏まえた上で僕なりのアミノ酸に対する見解を整理しておいたほうが良いと思いますので、ご参考までに。

アミノ酸は期待した効果だけの為には働いてくれない
「人間は水とアミノ酸で出来ている」とのコマーシャルがありますが、たった20種類のアミノ酸の組み合わせで人間の身体のあらゆる臓器・あらゆる作動物質(ホルモン・酵素・補酵素など)が糖や脂肪、ミネラル等と共同作業で形成されているのです。
例えば脂肪燃焼系アミノ酸といわれているリジン・プロリン・アラニン・アルギニンは代謝中に遊離脂肪酸を増加させる作用のあるリパーゼの活性化を促すと説明されています。
確かにリパーゼは脂肪を加水分解して遊離脂肪酸(実際には決して遊離した状態では存在していない)の生成を促しますが、リジン・プロリン・アラニン・アルギニンを選択的に摂取するならともかく、これらを含む17〜8種類のアミノ酸を配合したマルチアミノ酸(もちろんバームも含む)が希望通りリパーゼの活性化にのみ作用してくれるでしょうか?
しかも大半は脂肪燃焼の敵である高濃度の糖質を含んでいます。
もしこれらのアミノ酸がリパーゼの活性化のみに関与しているのであれば期待できますが・・・
アミノ酸は身体形成している単なる一部品に過ぎないことを再認識して下さい。

脂肪燃焼効果を期待するなら
脂肪酸は代謝される前に必ず活性化されなければなりません。その際短鎖脂肪酸の活性化は比較的簡単に行えますが長鎖脂肪酸の活性化はミトコンドリア内でのみ行われます。
この際カルニチンの存在なしではミトコンドリアの膜を通過することは出来ません。またカルニチンはミトコンドリア内での脂肪酸化に重要な役割を果たします。
カルニチンは肝臓や腎臓でリジン・メチオニンから合成されます。そして筋肉中に多く存在します。
実はこのカルニチンこそが脂肪燃焼の決め手の物質なのです。
サプリメントにも多く使用されてきましたが、従来は牛肉からの抽出物であったため、狂牛病騒ぎ以来使用が敬遠されがちでした。
最近植物由来のカルニチンが開発され、大きな脚光を浴びています。
しかし脂肪燃焼の決め手は有酸素運動であることを決して忘れてはいけません。
「こんな運動しなくても・・・」明らかに視聴者に誤解を招く過大広告だと思いませんか?

アミノ酸最新事情
従来食事として摂取した蛋白質はアミノ酸まで分解されてのみ吸収されると考えられてきました。
しかしアミノ酸が二つくっついたジペプチドや三つくっついたトリペプチドの吸収がより早いことが判ってきました。独自のレセプターの存在が確認されその作用機序が明らかになってきたものが多く存在します。
アンセリンはその中の一つでヒスチジンとアラニンの結合によるジペプチドです。
一生回遊を続けるカツオやマグロの持久力・瞬発力の秘密がアンセリンであることが判明しました。
陸上競技のトップ選手も愛用しているようです。

運動には絶対有用なアミノ酸の知識
現在日本体育協会の基本方針として、「サプリメントの効果は期待してはいけない」との見解が成されています。実際には世界のトップアスリートは全てと言ってよいほどサプリメントを愛用しています。食事だけでは十分な栄養が摂取できないことを知っているからです。運動終了後30分以内と言われるゴールデンタイムに摂取することが必須のBCAA+アルギニン+グルタミンペプチドが本当に夕食で間に合うでしょうか。運動終了後30分以内に夕食が摂取可能な人が何人いるでしょうか。もちろん同時に炭水化物も必要ですが、おにぎりを食べさせるだけで満足している指導者が多いのも事実です。サプリメントは摂取タイミングが非常に大切です。

本当に不足しているのは運動です
サプリメントに何もかも依存することは決して正しい選択ではありません。
サプリメントは必要に応じて不足した物を最高のタイミングで摂取して初めて効果が期待できます。
たとえダイエット目的であっても運動の代役にはなり得ません。
日本人の栄養調査でもアミノ酸の不足は運動選手と偏食家・老人以外には考えられません。
本当に不足しているものは運動であることを再認識して下さい。

2003/9/12


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